【医師監修】ニキビ跡（痕）を消すには？ 赤み・しみ・クレーター別に解説

「ニキビ跡（痕）」とひとくちにいっても、実は見た目によっていくつか種類があり、それぞれ対応が異なります。代表的なのは、次の3つ。

• 炎症がまだ残っている「赤み」
• 治った後に茶色く残る色素沈着「しみ」
• ほとんど色は無いけど凹んでしまう「クレーター」

まずは、特徴をおさらいしてみましょう。

最も代表的なニキビ跡は、「赤み」。ニキビができた部分が、治った後も赤く残なってしまっている状態です。これは、炎症がまだ残っているしるし。

赤ニキビや黄ニキビなど、強く腫れてしまった深いニキビの跡にできやすいんです。お肌の表面もデリケートな状態なので、強く擦ったり紫外線を浴びたり、刺激にならないように注意が必要です。

ニキビ跡の赤みをそのまま放置してケアが不十分だと、部分的に茶色く変色してしまうことも。これは、炎症後に色素が沈着している状態。いわゆる「しみ」になってしまっているのですね。

また、赤みがある状態が気になって触るのがクセになってると、その刺激でメラニンが増えてしまうこともあるので注意が必要です。

ニキビ跡のなかでも、無色または黒い影のつく凹凸になっているのが「クレーター」です。芯のある深いニキビの跡や、何度も同じ箇所にニキビができた跡に出現することがあります。

このクレーターは、毛穴の中で起こった炎症が真皮にまで影響を及ぼし十分回復する前に新たなニキビを繰り返した結果、そのまま回復せずに凹凸になってしまった状態。顔の角度を変えて鏡を見たり、肌を触ったりすると、見つけやすいはずです。

このように、ニキビ跡にはいくつか種類があるため、それに応じたケアが必要になってきます。ここからは、ニキビ跡を消すためにできる工夫をご紹介していきたいと思います。

まずはじめに、「赤み」が気になる方におすすめしたいスキンケアの成分や、メイクでのカバー方法をご紹介しましょう。

「赤み」があるときに取り入れたい美容成分は、「ビタミンC誘導体」と「抗炎症成分」です。下記の成分が配合されているアイテムを目安に選びましょう。

【代表的なビタミンC誘導体】

• アスコルビルリン酸Na
• アスコルビルグルコシド
• アスコルビン酸エチル

【代表的な抗炎症成分】

• トラネキサム酸
• アラントイン

｢赤み｣は鏡を見たときに目につきやすく、どうしても気になってしまうかもしれませんが、できればあまり触らないで。これ以上炎症を長引かせないためにも、刺激を与えないようにするのが大切です。

赤みが引くまでは時間がかかるので、その間メイクでカバーするのもおすすめです。ファンデーションだけで隠しきれないようなら、グリーンの色付きコンシーラーを使ってみて。赤色と補色関係にあるのは緑色なので、赤みを打ち消してくれます。

使い方は、下地の上から重ねてカバーし、その上からファンデーションを乗せるだけ！広範囲のニキビなら、グリーンのカラーコントロール下地も便利ですよ。使うときは、強い力を入れて摩擦させずに、優しく上に乗せるようにして使うのが◎です。

次に、ニキビ跡の「しみ」が気になる方におすすめしたい成分をご紹介します。メイクでのカバー方法も、併せてご紹介しますね。

「しみ」が気になるときは、美白に効果のある成分をスキンケアに取り入れましょう。医薬部外品（薬用化粧品）に配合されることのある、代表的な成分をご紹介します。

【薬用化粧品の代表的な美白有効成分】

• アルブチン
• カミツレエキス
• リノール酸
• m-トラネキサム酸

これらの成分は薬用化粧品に配合されてはいますが、そもそも茶色くシミになってしまったニキビ跡は、化粧品だけで完全に消すのが難しいといわれています。もしも長い間改善せずに気になっている場合は、美容皮膚科でお医者さんに相談してみましょう。

こちらも、気になるならメイクでカバーすることもできます。コンシーラーはさまざまな種類がありますが、なかでもカバー力が高く、テクスチャーがやや硬めのものを選ぶと、カバーしやすいはずです。

リキッドタイプであまりサラサラしていないものや、スティックタイプもいいですね。使うときはファンデーションの前に仕込んでおくと自然です。水で濡らしたやわらかい3Dパフなどを使って、重ねたところにぽんぽんと叩くと、綺麗に馴染みやすくなりますよ。

ニキビ跡のなかでも、厄介なのが「クレーター」。市販品によるスキンケアでは、改善が難しいといわれています。そのため、自力で対応するなら、メイクが中心になってくるでしょう。

クレーターを消すには、美容皮膚科での治療が主になります。古い角質をケアするケミカルピーリングや、レチノインなどの塗り薬、レーザー治療などを行うことがあるようです。

そのクリニックによって、推奨している治療や内容が異なりますので、実際に美容皮膚科を受診して、担当のお医者さんに話を聞いてみるのがベストです。

クレーターをメイクでカバーするなら、ポアレス系のプライマーを使いましょう。化粧下地のなかでも、毛穴の凹凸を埋めるのに特化したアイテムで、「毛穴下地」や「ポアプライマー」とも呼ばれます。

形状は、ジェル状になっているアイテムやバーム状になっているアイテムがありますが、テクスチャーが硬めのものなら、より凹凸が埋まりやすいはず。

使い方は、普段塗る化粧下地を全顔に塗った後、クレーターが気になる部分にポアレス系のプライマーを塗ります。その後、ファンデーションで仕上げていきましょう。あなたが普段使っているお気に入りのファンデーションと相性のいい下地を見つけられるといいですね。

最後に、ニキビ跡（痕）にまつわる、よくある質問にお答えしていきます。

スキンケアにあまりお金をかけられない学生さんは、高価な化粧品をあれこれ試すよりも、“お薬で治す”という選択肢がいいでしょう。

一般的に、治療のために短期間で使うお薬（医薬品）と、日常のケアとして予防用に長期間使う化粧品（薬用化粧品）は、有効成分の濃度に違いがあり、医薬品の方が高濃度なんです。

ただし、医薬品は化粧水のように顔全体に塗るのはNG。副作用を起こさないためにも、説明書や使用方法をよく読んでから使いましょうね。

市販薬はドラッグストアでも購入できます。店舗には、登録販売者の方や薬剤師の方が常駐していらっしゃるので、あらかじめ自分のニキビ跡にはどのお薬が合うのか、きちんと聞いてみるといいでしょう。

もしも、市販のお薬で効果が感じられなかったり、肌トラブルが悪化してしまう場合は、美容皮膚科を受診し、担当の医師に相談しましょう。

写真撮影など、すぐになんとかしたいような状況でも、短期間でニキビ跡を改善するのはやはり難しいです。コンシーラーなど、ニキビ跡に特化したメイクアップ用品でカバーするのが、一番簡単な方法ではないでしょうか。

ニキビの隠し方を徹底解説！コンシーラーの使い方やおすすめベースアイテムも

根本的なところでは、そもそもニキビ跡を作らないようにするには、ニキビが発生しにくい肌環境を整えることが大切。帰宅後は早めにメイクを落とし、適切なスキンケアで肌の水分や油分を補いましょう。

インナーケアとして生活の見直しも有効です。夜更かしや徹夜は避けて睡眠時間を確保し、バランスのいい食事をとることで、肌のコンディションが整いやすくなります。

また、夜寝るときの枕カバーが不衛生だと、顔に雑菌がつきやすくなります。枕カバーは、できれば毎日取り替えて、衛生的に保つのが理想です。

ニキビを防ぐため、そしてニキビ跡を早めに改善させるためにも、インナーケアにも注目したいです。美肌のための栄養として有名なビタミンCはもちろん、ビタミンB群も摂れたらいいですね。

【ビタミンCを含む食べ物】

• パプリカ
• ブロッコリー
• 甘柿
• じゃがいも

【ビタミンB群を含む食べ物】

• B1…豚肉（ヒレ）
• B2…豚レバー
• B6…マグロの赤身
• B12…牛レバー

食事は、主菜・副菜を考えながら、3食バランスよく摂りましょう。

せっかく治ったと思ったのに、数日経っても残るニキビ跡。「赤み」「しみ」「クレーター」と状況は人それぞれなので、自分に合った美容成分を取り入れながら、刺激を避けて改善を待ちましょう。

また、改善するまでは時間がかかるので、日中に気にならないようにするためにもメイクで工夫してカバーしましょう。むやみにファンデーションを重ねるよりも、赤みを補色で抑えるグリーンのコンシーラーや、硬めのテクスチャーのコンシーラーを併用するとGOODです。

日頃のスキンケアとメイクを併用しながら、ニキビ跡のお悩みにバイバイできるといいですね♡

【本記事にまつわる注意事項】

この記事は、一般的に知られる事項を元に作成されています。情報提供を目的にした記事ですので、診断に代わるものではありません。肌トラブルがある場合は、自己判断せずに専門家に相談しましょう。

【参考文献】

●『コスメの教科書　日本化粧品検定2級・3級対策テキスト』（小西さやか 著／主婦の友社）

●『美肌成分事典』（白野実・かずのすけ 著／主婦の友インフォス）

●『世界一やさしい！栄養素図鑑』　（牧野直子 著／新星出版社）

●肌荒れの原因となる食べ物・肌荒れによい食べ物とは？（アルージェ 敏感肌研究室）